2016-1-17今日は大震災の忘れられない日です
無我夢中で過ごした当時の被災動物救護活動は他人の記憶をたどるかのように感じることもあります
神戸市郊外の農村地区であった我が家は 全ての活動が終わって確かめると壁のひびが見つかったりもしましたが 主には食器が壊れた程度のことでした
猫の部屋の窓のロックが外れて猫が1匹脱走して行方不明となったこともありましたが収容動物たちには被害がなかったことは幸いでした
脱走した猫も その後やつれはいたものの帰宅してくれました
我が家のことはすべて 動物たちのことも一切を夫に任せて 全国初の官民協働組織として立ち上げた「兵庫県南部地震動物救援本部」活動に専念いたしました
何もかも無いものばかりで始まった活動は困難も多かったのですが それまでは反目することが多かった 行政機関とも獣医師会とも信頼のもとに協力することができたことは素晴らしい成果であったと思います
行政機関とも獣医師会ともに最高の人材に恵まれた幸運が活動の成果となったのだと感じています
無論 全国から参加してくださった直接活動と 被災動物を家族としてお迎えくださった各個人やボランティアの皆様と 世界から寄せられましたご支援のお陰様であり今も心から感謝いたしております
誹謗中傷や多くの困難もありましたし 危険がいっぱいの毎日でしたが無事に活動を終えられたことはありがたいことであり またとない貴重な経験をさせて頂いたと思っています
収容動物たちは 一般のワクチンも 不妊手術もしていないことが当たり前のような状況でした
犬は狂犬病予防法違反がほとんどでしたし
救護活動をした犬で鑑札をつけていた犬は片手で指折り数える程度でした
当時にマイクロチップが普及していたら もっと多くの動物が元の飼主様と再会できていたでしょうね
経験のない俄か愛護活動家が 多くの純血種を悪徳業者に付け入られ 引き取の名目でさらわれていかれたと思いました
私たちの救援本部に相談に来られた飼主様がたくさんおられましたが 素人の活動では管理体制も粗末でしたし 個体識別がなければ証拠となるものがなく 疑いだけでは追及はできませんでした
私たちの救援本部にも業者らしき人が貰い手のふりをしてきていましたが 私たちは日常の経験が豊富でしたから「すべて不妊手術をしなければ譲渡いたしません」と言えばそれらの繁殖目的の業者風の貰い手は手を引いていました
譲渡の際にも新たな飼主様に「どうしてもお困りの時には迷わず必ず此処 救援本部に戻してください」と言い添えて譲渡していました
躾もされず 人なれしにくい犬猫もたくさんいて 新たな飼主様には相当ご苦労をされたお方もおられましたが 追跡調査で確認した際にはほとんどの動物たちは家族として定着し 余生を見守ってくださったようでした
被災動物を迎えてくださった方々の温かいお心がそのような結果として現れたのでしょう
全国のご協力頂いた方々には今も感謝の気持ちで一杯でございます
当時は新たに飼育されるために迎えるためには 子犬子猫でなければ懐かないと思う人々が多かったのですが 阪神・淡路大震災の動物救護活動が「成犬正猫」であっても譲渡先で順応できることを証明してくれました
阪神・淡路大震災の動物救護活動は「動物福祉元年」とも評価されました
確かにあれ以来動物に対する考え方が大きく変わっていったと思いますが 最近の動物愛護は【自己愛型動物愛護-S,Ma】に溺れていく傾向が強くなったと感じています
【人が辛さに耐える分動物の苦痛は救われるが 人が辛さから逃れたければ動物に苦痛を耐えさせることなります どちらもあなたが選択されることです-S,Ma】
他のブログ飼主様でも嘆きの表明をされていますが 開業獣医師による「安楽死処置」(安楽殺処置)の拒否事例が増加の一途となっているように感じます
きっと世間の風聞がそのような風潮を招いていることが多いのでしょうが 真に飼主様と動物に対する深い思い遣りがおありであれば 飼主様と動物を救うためであれば「安楽死処置」(安楽殺処置)を引き受けてくださるのが獣医師の務めであろうと思います
「命を救うために獣医師となった」という言い訳をよく耳にしますが 医療の基本は「苦痛の軽減」が基本であり 事例によっては獣医師による「安楽死処置」(安楽殺処置)は飼主様と動物を救うことになることを 教育の過程で教えて頂きたいものです
「ノーキル」「殺処分ゼロ」の団体の加勢をされる獣医師教育者がおられるようですが 基本教育を間違えないでいただきたいとお願いしたいです
全ての「安楽死処置」(安楽殺処置)を拒否されると言う事は 獣医師ご自身の保身と自らの心を救うためであり 真に飼主様と動物に対する思いやりには至らないからであろうと思います
このような獣医師に頼らなければならないことは人社会のためにも動物のためにも「立派な行為」であるとは認められず 獣医師会全体の問題として再考していただきたいと強く念じます
隠居の身でありますからここまで言い切れますが 現役では獣医師のご協力なくしては活動ができませんから 心と裏腹にでも泣き寝入りをしなければならないことをどうか真剣に思い遣って頂きたいと存じます
16日の「神戸新聞社の7日間」を再現した実録交じりのドラマがあり 当時を思い返して涙と共に見させて頂きました
報道の基本も当時の正義感と使命感をお忘れにならないで 今日の報道の在り方にも再考をお願いしたいと感じます
動物に対しての「ノーキル」であれば「動物あいご」ではありません
況してや「動物福祉」からは次第に遠ざかっていく傾向を助長するかのように感じられる大衆迎合型の報道が多くなってゆく現状を無念と思っております
一部の声高な「動物あいご」の人々のためではなく 社会全体のためになるような 知識を基にした記事を書き 報道をしてくださいますようにお願いいたします
阪神・淡路大震災の被害にあわれたすべての人々と動物たちのご冥福をお祈りいたします
2016/1/174 文責 松田早苗
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ご指摘のとおり、RSPCAは、4割近くの犬猫を主に拳銃で殺処分しています。
長年、RSPCAは、殺処分については触れないようにしていました。
しかし元職員がメディアがすっぱ抜いて、RSPCAは、殺処分の実態を公表せざるを得なくなりました。
ドイツのティアハイム協会加入の施設の一覧表というものがあり、かなりの数のティアハイムが年次報告を公表しています。
犬猫の殺処分も一頭単位で公表しているところもあります。
概ね3割台の殺処分率です。
私は、それでも大変優秀な数字だと思います。
ティアハイムベルリンは、業界最大手なのに年次報告書を公表していません。
長年、殺処分をそれとはなく(そもそも年次報告を公表していない)否定していました。
2013年に、殺処分の事実を隠し通せなくなり、マスメディアに殺処分をしている事実を公表しました。
今では、HPに「健康上問題がなくても問題行動のある動物は殺処分していますと記述しています。
ティアハイムベルリンが殺処分ゼロなんて必死に言っている人がいるのは、ティアハイムベルリン関係者を含めて世界中で日本だけです。
ティアハイムベルリンを殺処分ゼロと固持する人の意図がわかりませんね。
それとなぜドイツのティアハイムの中でも、営利商業主義に邁進しているティアハイムベルリンを、「非営利」としたがるのもわかりません。
ドイツでは、小規模でボランティアの手弁当でほそぼそと、粗末な施設で財政難に苦しみながら、本当に利益追求なしで動物保護に尽力しているティアハイムはたくさんあります。
日本の愛誤が言う、「非営利の動物福祉に尽力している」ティアハイムは、そのような小規模なところです(案外こういうところの方が年次報告を出しています)。
どうして対極にある、金儲け上手な、ティアハイムベルリンばかりを取り上げるのか理解できません。
投稿: さんかくたまご | 2016年4月 1日 (金) 22時02分