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2011年1月30日 (日)

2011-1-25 編 熊問題

23/日曜 京都大学でHARS主催シンポジュウム聴講参加してきました

今回は熊問題が取り上げられました

以下

早稲田大学 野生動物の行動生態学 三浦 慎悟 教授 ご講演からS,Ma抜粋  S,Maの個人的意見を交えています

2010年は餌不足のために人の住区域への出没が目立ち 報道でも頻繁に取り上げられました しかし 経済優先の「杉」等の人工林が増加し 熊の生息環境の広葉樹林が減った結果であり 国家としての自然とは何か 何を保存すべきかという価値観の基本が間違っていたのだと感じます 

一時期の日本は「エコノミックアニマル」と称されたほどに全てが経済優先に徹していました 経済力を付けたことは確かかもしれませんが失ったものも多すぎるのだと思います

取り返せない大切なものまでも金勘定にかえたのでしょう

一方で環境問題とは別に動物が経済動物としての価値観でしか計られなかったところにも「種の多様性」に無関心であったことが今日に繋がっていると言えます

現在 熊胆 40g30万円? (猟師相場?)

10世紀までは薬として重要視されていなかったが 17世紀頃から中国からの影響により価値を高めたようです 

健康志向ブームのような状況にいたり 熊の胆の商品化がおこり 時代の権力者の実力行使により根こそぎに近い捕獲を猟師に指示され 江戸期には熊の胆の献上に対して褒美を与えられたようです

弘前藩 津軽藩 南部藩 特に盛岡藩は詳細な狩猟記録があり 明暦2(1616)正月10日 賭けの山で勢子数千人を使い 鹿1701頭  ついでに狼6頭捕獲 明暦3年 鹿1203頭 狼4頭捕獲と記録されている

鹿は絶滅に近い状況となったらしい

盛岡藩主の命により 熊の皮同胆 に褒美が出された 

熊の胆の売り買いに関わった者は厳罰に処せられたと文献に記されているそうです  

1771-1800年の 約30年間におこった熊についての記述によれば 熊の胆 皮が不足している 熊が小さい 胆も小さい と記されているそうです

藩に背いて密売買した場合には厳罰に処すと書かれている

弘前藩は猟師が熊を捕獲したらその場で役人が 性別 年齢 体重を記録し その場で胆を取り 皮は後ほど取りに来ると記されている 

銃は登録制であり 一般人には所持させなかった そのために熊の狩猟には集団で槍で殺していたと記録されているそうです

熊狩猟による 死傷者 39名 熊1001頭狩猟中に死者16名 負傷者21名行方不明2

弘前藩では 乱獲したために 津軽一帯から熊が消えたことがあったようです

1690- 1729頃には狼は多数いたが 狼による死者45名 狼は 有害駆除をした 

熊胆について

タウロウルソデオキシコール酸 日本薬局方指定の漢方薬 製薬業界は年間7kg以上 10kg 程度を消費=300-500頭分 相当 (供給なしか? やみか?) 

現在 北米 ロシアからの輸入 公式統計2004年 5.74kg?(合法的に)

ワシントン条約付属書「ツキノワグマはⅠ類 ヒグマはⅡ類」であるにもかかわらず カナダ 中国 1993-2003 年の10年間で密輸入(クマ胆の輸入)6471.51万点税関差し止めとなっているようです

現状での夏の捕獲はそのまま焼却処分されているのは資源利用的にももったいない

情報公開を適正に行い野生動物管理を見直すべきである

過去に「またぎ」による春熊猟では視認しながらの集団での猟をする 子連れの狩猟は禁止されている

5月初旬には母子は冬眠から出てこないので オスに限定されることは合理的である 

近年は ブナ伐採と出現状況が同調している 高山帯から中山帯 低山帯へと移動し 生息地そのものが人間との接触が単純になってきている  

出現した熊の乱獲状況は憂慮され 計画的狩猟は可として検討すべきと話されていました

熊の胆の利用も考慮してよいとのご意見ではあったが 一度商業価値として認めたものをコンスタントに利用するには人工飼育繁殖等にも繋がり 中国での熊胆汁採取の問題に繋がることを危惧します

残虐性がある非人道的行為が 人の医療に必要であると言う理由で看過されて良いのかS,Maが質問をしましたが 別に課題として検討する必要があるとされたがこの場での回答は見送られました

現場での狩猟家には多くの役割が課せられ 狩猟家の減少と共に問題が深刻なようです

法的な問題があるのは承知で自衛隊の狙撃班の出動が検討されて良いのではないかと感じます

免許制とはいえ猟銃の所持による犯罪もあり 身近に銃器があることや 使用者の技術力やモラル低下に不安があります

危険動物の出現により対策に当たられる行政担当者のご苦労はお気の毒としか言えない状況にあります

被害を受けた国民は責任追及に攻撃的にもなることもあり得ますし 権利の主張と義務の遂行という点では地方自治体がそれぞれに検討するよりも国としての基本的な方針が必要であるとも感じます

地域差があることも認めますが地方自治体の担当職員が心身ともに疲れ果てて 対策維持がされていることには職責を超えているようにも感じます

労災の危険性が常にあるでしょう

「生物多様性」「自然環境保持」についての国民の関心の低下が大きな問題であるでしょう

猫の餌付けがイノシシの餌付けに繋がり 市街地での被害者を生むことにもなります

「知識」と「理性」と「愛情」と「判断力」は動物との関わりには欠かせない要素です

「自然との戦い」と言いますが 戦いには犠牲者が出ることも認めざるを得ないでしよう

如何に犠牲を減らせるか 対人 対動物 物損全てに対する保証も検討して「対策」となるのではないでしょうか?

2011/1/29 編 文責 S,Ma

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