行政機関の責務
招き猫さん
ご意見ありがとうございました
[ノーキルなんて大不況の中で高利回りをうたう詐欺商品と同じです!]
昨日09/7/16熊本市の動物愛護センターレポがTV報道されていました
収容動物の手入れをされ 確かに注目するべき改善点には職員ご一同様の意識改革の賜物と存じます
ご努力には敬意を表します
しかし 他方で全てが「譲渡対象」となるべきための行為であることには異議があります
殺処分対象であっても人道的に処遇されることが「普通」にされる国になっていただきたいのです
また譲渡後の動物の飼育状況を追跡調査されているのでしょうか?
私の経験からも言えることですが このことは譲渡前調査と共にとても大切なことです
ある地方自治体のセンターを訪問した際には情けないほどに 日本の動物福祉の低迷を如実に表されていました
近年の保管室形態の施設を使用されず 中型犬が漸く納まる程度の移動箱に法定機関の3日間収容されるとの事でした 通常の保管室は譲渡対象の引き取り犬を収容されるために空けておくと言うのが理由だそうです
殺処分しなければならない動物たちであればこそ 現状でてきる最大の人道的処遇にご尽力をお願いしたいのです
熊本市動物愛護センターにおいて 説諭の後に行政機関での引き取りを拒絶され 持ち込み者に連れて帰らせるという行為が 行政機関として正等であるのか私には納得が行きません
従来は多くの自治体で無条件受け入れをしたこともありました
そのことに動物福祉に関わる多くの人々から改善 即ち「説諭」を望んだことはあります
しかし 引き取り頭数ゼロが目的ではなかったはずです
安易に飼育放棄をさせない 今回は引取りに応じても今後の動物との共生についての基本姿勢の改善への啓発に基くものであることを要望したからです
現状で浸透しつつある行政機関での「ノーキル」を目標とするには 行政機関であるが故になすべきことを 職員の感情優先で避けておられるのではないかという疑問を持ちます
行政機関窓口で追い返した人が万に一の改心による飼育継続がないとは断言いたしませんが その人なりの最善を尽くされてもネグレクト保管に終わることもあるでしょうし 万感の思いで一代決心をされ行政機関に頼っておられることもあるようにも思います
私も40年間の活動暦で行政機関の窓口対応を日々直面してきました
思わず横からの口出しをしたこともあります
苛立ちやもどかしさを感じた一人ですが 行政機関に持ち込む人の全てが悪意の人ではなく その決断をすることがその人の能力の限界であることもあると感じたこともありました
受け入れ拒否の事例の追跡調査で 事後の処遇 転帰まで見届け 支援があればよいのですが 窓口から消えた後は善意解釈で 「救命」できたと推量されることは民間のノーキル発想と差異がないと感じます
遺棄された場合は再び 行政費用で収容しなければならず 遺棄された動物たちも「命」はあるかもしれませんが苦痛を強いられることになり 動物福祉の基本からは外れることだと感じます
社会にも迷惑動物として評価をされ 動物全体の社会的評価を低下させる要因ともなると思います
他方で社会を騒がせている「正当」ならぬ引取り業者の収入源アップに加担することにもなりかねません
譲渡についても「すべてを救う」のは言葉としては美しくても 行政機関としての「適性譲渡で救うことにより 動物の社会的地位を向上させる」役割を果たしておられるか この点にも疑問が残ります
国民を指導し法の理解の下での啓発という点では 行政機関は大きな義務を背負わされているのです
「殺処分」それは行政機関で働くことのリスクともいえるでしょうが 他で拒否された行為を行政獣医師と また 技術職員としての誇りにかけても「安楽死処置」を実行させてやれることでもあります
「愛」と「理性」が平衡した毅然とした態度と実行力が無ければ指導的存在にはなりえません
窓口での受け入れ頭数が減ることの要因が「受け入れ拒否」によるものであることが 真に動物福祉に適っているのか再考をしていただきたく 皆様の間での議論を高めていただけますようにお願い申し上げます
かつて私も開業獣医師と議論を交わしたことがありました
VET『S,Maさんは極端なんだ 安楽死処置の依頼をした人に わたしが説教をすると動物を連れて帰るよ』
S,Ma「連れて帰る足で遺棄されていることもあり 世間体のためにネグレクト保管をされることもあり その後始末をS,Maが引き受けることもあります」と このようなやり取りをしたこともありました
その獣医師先生も震災以後はS,Maの評価を改めてくださったようでした
TVコメンテーター氏は「愛護センターといいながら殺処分は変だ」との意味を表明されましたが 何故そのような現状にあるのかを 通り一遍の「常識」ではないところにも留意をされ コメンテーター氏としての高度な意見表明をお願い申し上げます
熊本市絶賛のこの時期にこのような意見表明をすることは個人的には大きなリスクを抱えることになることは承知していますが あえて「よく無いことをよく無いと言わさない」社会にながされたくないので意見表明をしたいのです 2009/7/17S,Ma
熊本市動物愛護センターについての新聞報道の写しを転載しておきます
HAPPニュースより転載
YOMIURIONLINE/読売新聞)
飼い主の都合などで捨てられた犬の殺処分数が、熊本市では10年前の10分の1に減っている。
命の重さ説き犬の殺処分激減、熊本市動物愛護センター
飼い主の都合などで捨てられた犬の殺処分数が、熊本市では10年前の10分の1に減っている。市動物愛護センター(熊本市小山)に持ち込まれても簡単には引き取らず、時に職員が声を荒らげてでも飼い主に命の大切さを説き、思い直してもらうという異色の対応の成果だ。
2004年にセンターに配属された久木田憲司所長(獣医師)が、動物愛護管理法で「所有者は終生飼育に努め、自治体は飼い主に必要な助言を行うこと」とされていることに着目したのが取り組みのきっかけ。市はそれまでも、動物を安易に遺棄しないよう啓発活動を行っていたが、ほとんど効果がなかった。そこで、法律を根拠に、「安易にセンターで引き取らない」という異例の方針を打ち出した。職員には、飼い主に大きな声を出してでも、すぐには引き取らないような対応を求めた。
センター愛護係長の小山信さんがある時応対した親子連れは、「年を取り、番犬の役に立たないから」と老犬を連れてきた。小山さんは「命を何だと考えているのか」とどなりつけた。そのうえで、「あなたがやっていることは、命のあるものでも年を取ったら捨てていいと子供に教えているのと同じだ。それでもいいのか」と詰め寄り、犬を連れて帰らせたという。
こうした対応を不愉快に感じる市民もおり、「やりすぎだ」「捨て犬が増える」との苦情が市の窓口に寄せられることもあった。しかし、久木田所長は「命について話をしているだけで問題ない」と気に掛けなかった。
取り組みの結果、持ち込みが激減し、97年度に946匹だった殺処分数は、07年度には78匹にまで減った。「安易に動物の命を考えないでほしかった。成果は出ている」と久木田所長は胸を張る。
やむを得ず引き取った犬の譲渡方法にも徹底してこだわっている。市は、市獣医師会、愛護団体などでつくる協議会と協力して月に1回のペースで譲渡会を開催。譲渡を受けようという人には、捨てられた犬がガス室で処分されるビデオを見せ、飼い主としての適否を判断するために面接を義務づけている。譲渡後の去勢、不妊を約束させ、一生育てるとの誓約書も出させる。「動物の幸せを考えると、簡単には譲り渡せない」と小山さんは力を込める。
福岡県が動物の引き取りに手数料を設定するなど、各地の自治体が持ち込みに歯止めをかけようと工夫している中で、この「熊本方式」は注目を集め、自治体による視察や職員の派遣が行われるようになった。08年度から1年間、山口県下関市から派遣されていた獣医師の斉藤由香さん(27)は「職員の動物を救おうという意識が高い。貴重な経験を積むことができた」と話している。
(2009年3月29日 読売新聞)
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